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東浩紀-日仏BLOG

2008 2月-3月

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marie_zagoのコメント

March 30th, 2008

コメント、和訳/投稿日付:2008年3月28日
カテゴリー[オタク文化]

東様、
東さんは「動ポモ」の中で、オタクを「コミック、アニメ、パーソナル・コンピュータ、SF、フィギャそのはか、互いに深く結びついた一群」と定義されました。現在は、だれでもこの枠に入るでしょう。それから、オタクには三つの世代があるという話もされました。一般には、その第一の世代が「人間本来のコミュニケーションが苦手で、自分の世界に閉じ込もりやすい」と言われています。ヨーロッパの場合は、今日までのオタクに関する本がこのタイプを目指すと思います。結局、「動ポモ」の定義のほうが第一世代の暗いところをなくしながら、消費する製品によって定義された一群を指します。リビドーと潜在意識がないという感じですね。やはり、こういう様子も他の定義たちと一緒に存在するのに、どうして「準児童ポルノ」という概念の誕生に驚かれるのですか。

[終:marie_vagoのコメント]
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パリへの出発

March 14th, 2008

投稿日付:2008年3月13日
カテゴリー[オタク文化]

フランスのみなさん、こんにちは。

じつは僕は明日(14日)から一週間、パリに行きます。

スケジュール管理に失敗し、日本での仕事が終わらずに殺人的な忙しさになっている
ため、どうもブログの更新もできず申しわけありません。じつは日本では、いま、マ
ンガやアニメの性表現を「準児童ポルノ」という新しい概念で捉える政治的動きが出
てきて、オタクたちのあいだで大騒ぎになっています。この規制がオタク文化に対し
て与える意味や、そもそもなぜ日本のキャラクター表現には児童性愛に見えるものが
多いのか、その理由についてこのブログで考えるのはなかなかいいと思っていたので
すが……とてもそんな時間はなかった!

とりあえず、パリでの予定のみ告知しておきます。それぞれ、それなりに興味深いイ
ベントだと思いますので、もしお時間がおありでしたらお越しください。

■

3/15(土)
国際会議「Le manga, 60 ans après... 」に参加します。
於 パリ日本文化会館
14h30-15h10 講演
15h10-15h40 discussion avec Michel Maffesoli
詳しくは [こちら] をご覧ください。
Michel Maffesoli氏は、仏語版『動ポモ』の序文を書いてくれています。

3/16(日)
ブックフェア「Salon du Livre」に参加します。
於 Porte de Versailles, Hall 1
15h00-
Hachette のブースにて
詳しくは [こちら] をご覧ください。
ぼくは本にサインしたり、取材を受けたりするそうです。

3/17(月)
国際会議「Le manga, 60 ans après... 」に参加します。
於 Centre d’études et de recherches internationales (Sciences Po)
17h15-18h30 Table ronde
詳しくは [こちら] をご覧ください。
第1日と場所が異なるようです。

3/18(火)
エコール・ノルマル・スペリウールで講演を行います。
於 École normale supérieure
18h30-
詳しくは [こちら] をご覧ください。
3月13日から20日までENSで行われている「Semaine Japonaise」というプログラムの一
貫です。リンク先でダウンロードできるパンフレットが、ぐっとオリエンタリズムな
表紙でいい感じです(笑)。
日本というと、まだこのイメージなのかしら? プログラムには黒沢清や細田守の上映
会まであるのに……。

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フランスのみなさん、こんにちは!

March 3rd, 2008

投稿日付:2008年3月6日
カテゴリー[『動ポモ』仏語版]

 Hachette社からフランス語訳が出版された『動物化するポストモダン』の著者、東
浩紀です。1971年生まれの哲学者、そして批評家です。東京工業大学の特任教授も務
めています。
 さて、このたび、saysibon.comのご好意で、日本語とフランス語の同時併記のブロ
グを期間限定で開設することになりました。
 ぼくはフランス語は、ちょっとだけ読めるのですが、ほとんど書けないし話せませ
ん。そこで、日本語でこの文章を記しています。
 
 さて、今回は、ぼくの仕事の背景をご紹介するために、先日「Liberation」誌の記
事のために記した回答を、ここに転載したいと思います。残念ながら、この回答は記
事にはまったく活かされなかったのですが、フランスのみなさんにぼくの仕事を紹介
するのには最適かと思いますので、紹介します。
 
 次回からは、日本の思想状況やオタクの存在感、ポストモダニズムの現状など、ぼ
つぼつとエッセイ書いていく予定です。今回は、とりあえず以下の文章をお読みくだ
さい。
 
 ◆

(1)あなたは日本の思想界では新しい流れを代表していますか。

 1990年代から2000年代にかけて、日本では、戦後初めての長く深刻な不況(経済的変
化)とインターネットの発達(メディア的変化)の影響で、思想界の状況が大きく変わり
ました。日本の思想の中心は、それまで長いあいだ外国の思想の飜訳紹介が中心でし
たが、この時期に、日本社会の現状を分析することを前提とした社会学・心理学的な
言説へと移行します。
 それらの言説の中には、社会分析の有効性を強調するあまり、ポストモダニズムを
強く否定するものが多くあります。しかし、ぼくの分析は、そのなかで、(1)ポストモ
ダニズムの理論を継承し、かつ(2)日本独自のサブカルチャーの焦点をあてた、という
意味で独特の立場をとっています。ぼく以前には、そのような立場を取った書き手は
ほとんどいませんでした。
 『動物化するポストモダン』の出版(日本では2001年です)以降、ぼくに近い立場の
若い書き手が数多く現れるようになりました。ぼくはいまのところ、その思潮の代表
者だと見なされています。

(2)あなたの思考はどのような点で独自のものをもたらしていますか。

 上で記しました。

(3)あなたは、特定の知識流派・集団・グループに所属していますか。あるいはどのよ
うなグループに近いですか。

 上で記しました。

(4)あなたの仕事はどのような影響を受けていますか。

 ぼくの思想的な基盤は、ポストモダニズム、あるいはフランス現代思想です。
 
 ただし、そこで注釈が必要です。ぼくはジャック・デリダで博士論文を記しました。
しかし、フランス語は、ぼくのなかでは必ずしも特権的なものではありませんでした。
むしろぼくは、フランス現代思想を、英語圏における飜訳(ご存知のとおり、1970年代
にはフランスの哲学が大量に英語圏に飜訳されます)と日本の批評的文脈(ここではご
紹介できませんが、日本でも少し遅れて同じ現象がありました)での紹介を通じて読解
していました。たとえば、ぼくはデリダのいくつかのテクストを、フランス語でも日
本語訳でもなく、あえて英語で読みました。
 したがって、ぼくのフランスからの影響は、多分にアメリカと日本というプリズム
を介しての受容になっています。その点では、ポストモダニズムの読解格子をサブカ
ルチャーの読解にあてはめるという着想は、英語圏におけるカルチュラル・スタディー
ズの変種だと考えることもできます(ただし方法論は大きく異なります)。

 もうひとつのぼくの、思想的、というよりも文化的な基盤は、オタク文化です。そ
の意味については、『動物化するポストモダン』を読んでいただければおわかりにな
ると思います。
 日本のぼくの世代(いわゆる「団塊ジュニア」)は、10代で1980年代を過ごした世代
です。1980年代は、日本でオタク文化が華開く年代です(「オタク」という言葉そのも
のがこの時期に誕生しています)。そのときに東京にいたぼくは、日常的にオタク文化
の先端的な光景に触れていました。そして、いまでも私の生活は、オタク的な産物に
囲まれています(たとえば、ぼくの2歳になる娘はすでに宮崎駿の熱狂的なファンで
す)。『動物化するポストモダン』は、自分が置かれていた/置かれている、そのよう
な文化的環境を自己分析した書物でもあります。 

(5)アーティスト、映画関係、知識人などに親しいひとはいますか。

 同世代では、社会学者の北田暁大やマンガ家の西島大介、マンガ評論家の伊藤剛、
建築学者の森川嘉一郎たちと、近い関係にあるとみなされています。個人的な交流は
ありませんが、小説家の舞城王太郎に深い関心を抱いています。この作家の小説につ
いては、『動物化するポストモダン』の続篇にあたる『ゲーム的リアリズムの誕生』
でも、大きく取り上げています。
 ひとつ上の世代では、社会学者の大澤真幸、精神科医の斎藤環と交流があります。
読者のなかでは、ぼくの名前は、社会学者の宮台真司、評論家兼マンガ原作者の大塚
英志などと較べられることが多いようです。
 ほかにも、オタク関係では多くのひとの影響を受け、多くのひとに注目しています
が、その名前はフランスではなかなか参照しにくいと思いますので、ここでは挙げま
せん。


(6)あなたの周辺に、あなたを中心に世代的な現象があると思いますか。

 二重の意味であります。

 ひとつは、狭義の——新聞や論壇誌などにおける——論壇での現象です。ここ数年、日
本の思想界では、ぼくとほぼ同年代の書き手が急速に現れています。その立場や主張
も多様です。団塊ジュニア世代は、数年のうちに、思想界でひとつのまとまりと見な
されるようになるでしょう。
 ぼく自身、同じ年齢の北田暁大とともに、この春に新しい思想誌「思想地図」を創
刊します。その雑誌も、新しい「世代」の中心と見なされるはずです。

 もうひとつは、広義の——ブログや自費出版などを含む——論壇での現象です。上述の
ように、『動物化するポストモダン』は、思想的な言説とサブカルチャー分析を結び
つけた先駆的な書物と見なされています。したがって、いまでは、この本の枠組みを
もとにして、最新のオタク文化の分析を行う評論がネットや自費出版の世界でかなり
多く現れています。
 東浩紀という名前は(このように自分で記すと日本では反発があるでしょうが)、彼
らのなかでは象徴的な名前になっています。近年は、若い世代の書き手から、東浩紀
批判が寄せられ、それに対して再批判が展開されるような光景も見られるようになり
ました。そのように、いまの日本では——少なくともブログでは——、ぼくの名前を(賛同
であれ反発であれ)中心にして、「ポストモダン的認識を踏まえたうえで、オタク的、
ネット的現象に注目して日本社会について語る」一派が生まれつつあると言えます。
 ただし、その人数は多くはありませんし、いまだ狭義の論壇には影響を与えていま
せん。その点では、まだ無視できるていどの存在です。ですが、ぼく自身は注目して
います。

 なお、それらの現象が「政治的」にどのようなイデオロギーを支持するのか、その
分析はとても難しいので、ここではあえて語らないことにします。ひとつ言えるのは、
上記の両者は、ともに、従来の意味ではもはや——残念ながら?——左翼的な立場を取らな
いだろう、ということです。

(7)あなたがオタクたちと共有するものはなんでしょうか。それはどのような価値でしょ
うか。

 ひとことで言えば、ライフスタイルです。別の言葉で言いかえれば、現代の消費社
会におけるある独特の態度、感性です。それは、『動物化するポストモダン』のキー
ワードである「動物化」と深く関係しています。

 ぼくは大学を出て、博士号ももっていますが、伝統的で権威的な知のシステムにど
うしてもに馴染むことができません。したがって、いまでも、アカデミズムとは一定
の距離を取っています。ぼくは、知は、大学のシステムよりも、本来的にもっと自由
で、また——レヴィ=ストロースの言葉を借りれば——「ブリコラージュ」的に展開されう
るものだと信じています。
 そのような感覚は、ぼくが、長いあいだ、そしていまでも、多くの時間をオタクた
ちの作品のなかで過ごしていることから生まれているのかもしれません。ぼくは、大
学で会議に出ることよりも、秋葉原の街を歩いたり、ネットを巡回することのほうを
はるかに愛しています。

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